【本】道尾秀介-ノエル(ネタバレ)
道尾秀介のTwitter見てたら、ノエルって単語が出てきたから刷り込まれたんだと思うんですが、神の値段読み終わった後に読んでない棚からノエルを選んでました。
これは綺麗な道尾秀介ですね。他には暗い道尾秀介とか怖い道尾秀介とか奇妙な道尾秀介とか汚い道尾秀介とかどんでん返しの道尾秀介とかうまいことまとめた道尾秀介などがあるんですが。笑
道尾秀介は暗くて怖いのが本業だよね〜綺麗な感動系の救われる話もほっこりしていいんだけど。
この本は3つの短編からなっていますが話はつながっています。道尾秀介がよくやるやつですね。たまに微妙に話が繋がっていないパラレルなやつもありますが、今回はそんなこともなく普通につながってる話です。
やはりひとつめの「光の箱」がいちばんおもしろかったです。絵本作家の話。
道尾秀介らしい仄暗さもありつつちょっとした叙述がありいい話で終わります。
ヒロインの父親が自分の娘のヌードを撮りたがったり、拒絶されるようになるとその友人を倉庫に連れ込んで…とか、主人公がヒロインが友人を貶めるためにそれをやったと長年誤解したりしてギクシャクしてるとか道尾秀介ぽい。
あとのふたつは子供と老人の話です。(ざっくり)
んでこの3つはつながってるんですが、最後の「物語の夕暮れ」で妻に先立たれた元教師の主人公の老人が自殺しようとし、妻との思い出の家に住むかつての教え子(老人は気づいてない)に地元の祭の祭囃子を電話越しに聴かせてくれるようお願いをします。
このかつてな教え子は「光の箱」の主人公・圭介なのですが、この奇妙なお願いを聞いた理由はこの老人が圭介の小学生の頃の担任だった際に物語を書くことを教えてくれた人だから。
3日間ある祭の最終日にこのことを告げ、感謝を述べるつもりだと。かたや老人はその祭の最終日に練炭自殺しようとしますが、エピローグを読む限り圭介の感謝の言葉により思いとどまったようです。
私は、この老人は圭介がいじめられてるときに見て見ぬ振りした最低な担任だから復習してやるんだ!そのまま死にやがれ!みたいな流れになったら面白いなーと思ったんですが、そんなことにはなるはずもなく。笑
綺麗に美しく物語は終わりました。